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医療関係者の大きなお世話 エホバの証人輸血受けず [私の主張]

 「一方、同病院の医師や看護師からは『瀕死(ひんし)の患者を見殺しにしてよかったのか』と疑問の声も上がっている。」
 
 医療関係者の、信仰に対する無理解と大きなお世話である。それらを、今はやりの周産期死亡事例と同列に取り上げるマスコミの見識を疑う。
 
 死亡した患者の親族は「エホバの証人」の信者ばかりではない。マスコミがこのように大々的に取り上げれば、信者でない親族と、信者の家族との間に、命や信仰に対する価値観の相違よる確執が生じるかもしれない。
 
 それらを鑑みて、報道する必要性があると私には思えないし、なによりも、宗教・信仰に配慮して記事が書かれている形跡が全くない。むしろ、宗教に対する偏見すら感じさせる記事である。せめて、エホバの証人の信者がなぜ輸血を拒否するのかの解説ぐらいはつけてほしいものだ。
 
 わたしは、エホバの証人の患者さんの手術をかなりした。一度、大量出血のリスクが高い信者の方の手術を無輸血を条件に引き受けたところ、それを聞いた他の信者の人たちが集まってきたからだ。ある意味で、今の「病院ランキング」による患者の集中と同じような現象だ。
 
 だが、私にとっては、エホバの証人の信者が、輸血を拒否することについては、その理由も、信念も知っているから、ただ、ただ、輸血をしないですむ医療を、「通常の外科治療の一環として」努力し、実施するだけのことだ。もし、不幸にして、万策尽きたとしても患者さんとの信頼関係において、約束したことは守り輸血はしない。
 
 信者の方は、全く普通の人たちであり、強い信仰を持っておられることから、むしろ「へなちょこ都会の日本人」よりも、よほど度胸が据わっている。また、おもしろいことに、輸血を拒む程度も、人によって「私はアルブミンはだめ」、「私はセルセーバーまでならいい」と、その許容度は、実に個性豊かである。
 
 宗教団体というと、オーム真理教や、集団自殺、集団生活、白装束の団体など、訳のわからない狂信的な団体と見なされがちだが、彼らはごく普通の人である。むしろ、全世界的に見ると無宗教の日本人の方が少数派なのではないだろうか。
 
 また、東京にきて思うことは、人にぶつかっても、謝るどころか睨みつける、携帯の電源を切らなければならないところで、電源を切らないどころか、平気でメール読んだり書いたりしている「東京の人々」の方が、異様なカルト集団に感じられるときがある。
 
 また、食事については、各種宗教色々と厳しい戒律があり、逆に言うと、体に入るもの影響について無頓着な日本人も、信仰まで持つ必要はないけれども、もう少し食について、真剣に考えてはいかがだろうか。
 
 ただ、これも「医療関係者の大きなお世話」かもしれない。
 
 いずれにしても、宗教や信仰について、日本人はもう少し知識を持つべきであり、無知は偏見を生む温床となる。また、エホバの証人の信仰で問題となるのはむしろ、親子で信仰への思いや生き様がことなるときであろう。
  
エホバの証人:手術中に大量出血、輸血受けず死亡 大阪

 信仰上の理由で輸血を拒否している宗教団体「エホバの証人」信者の妊婦が5月、大阪医科大病院(大阪府高槻市)で帝王切開の手術中に大量出血し、輸血を受けなかったため死亡したことが19日、分かった。病院は、死亡の可能性も説明したうえ、本人と同意書を交わしていた。エホバの証人信者への輸血を巡っては、緊急時に無断で輸血して救命した医師と病院が患者に訴えられ、意思決定権を侵害したとして最高裁で敗訴が確定している。一方、同病院の医師や看護師からは「瀕死(ひんし)の患者を見殺しにしてよかったのか」と疑問の声も上がっている。

 同病院によると、女性は5月初旬、予定日を約1週間過ぎた妊娠41週で他の病院から移ってきた。42週で帝王切開手術が行われ、子供は無事に取り上げられたが、分娩(ぶんべん)後に子宮の収縮が十分でないため起こる弛緩(しかん)性出血などで大量出血。止血できたが輸血はせず、数日後に死亡した。

 同病院は、信仰上の理由で輸血を拒否する患者に対するマニュアルを策定済みで、女性本人から「輸血しない場合に起きた事態については免責する」との同意書を得ていたという。容体が急変し家族にも輸血の許可を求めたが、家族も女性の意思を尊重したらしい。

 病院は事故後、院内に事故調査委員会を設置。関係者らから聞き取り調査し、5月末に「医療行為に問題はなかった」と判断した。病院は、警察に届け出る義務がある異状死とは判断しておらず、家族の希望で警察には届けていない。

 エホバの証人の患者の輸血については、東京大医科学研究所付属病院で92年、他に救命手段がない場合には輸血するとの方針を女性信者に説明せずに手術が行われ、無断で輸血した病院と医師に損害賠償の支払いを命じる最高裁判決が00年に出ている。最高裁は「説明を怠り、輸血を伴う可能性のあった手術を受けるか否かについて意思決定する権利を奪った」としていた。【根本毅】

毎日新聞 2007年6月19日 19時46分


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